「あたあん」で書かれたので、こちらでも書いておこう。
確か火曜日の夜だっけか、俺が職場から帰宅すると、嬉々としてかみさんであるタカが言った。
「ねぇ、決定的瞬間を撮ったから、ビデオ観て、観て!」
もうこの時点で、俺はピンときた。
実はだいぶ前から、息子であるコウたんは「つかまり立ち」が出来た。ただ、自ら立てたわけではない。
太鉄家では、ずりずりとずり這いしながら明後日方面へ向かうコウたんを、良くプレイジムの前へ強制的に連行しリセットする(プレイジムの前に座らせると比較的長い間そこで遊ぶ)のだが、ある日、やたらと足を突っ張ってなかなか座らないことがあった。プレイジムに手をかけ、足を突っ張り、頑として座らない。膝カックンなどの技を駆使し、無理やり座らせていた俺だが、4度目か5度目のチャレンジの際、ふと気付いた。
「……これ、立ってねぇ?!」
恐る恐る、両脇を支えていた手を離してみると。こちらを振り向きつつニッコリ(ヘラヘラという表現の方が的確かも)とよだれを垂らしながら、見事に「つかまり立ち」しているコウたんがそこにいた(プレイジムの注意書きには「つかまって立つことを想定して作ってないからやめてね」とあるのだが、ま、いっか)。
ってなわけで、タカの言う「決定的瞬間」というのが「自ら何かにつかまり、自らの力で直立の体勢まで持っていった瞬間」を指すのは容易に想像できたが、想像できたからこそ尚更、俺はそそくさと着替えを済ませると、食い入るようにビデオを観た。そこには、やはりニッコリ(ヘラヘラ)と笑いながら、母親の仕掛けた、ソファー上のジュース入り哺乳瓶という単純なトラップに見事に引っ掛かり、自力でソファーにつかまりながら直立の体勢まで持っていくコウたんの姿が映っていた。
不思議なことにこの日から、それまではずり這いばかりでなかなか見せなかったハイハイまで、コンスタントに繰り出すようになった。どういう心境の変化だろう。まぁまだ、高速移動時にはずり這いなのではあるが。
コウたんが産まれて8ヶ月。つかまり立ちができるようになったのが、他の子に比べて早いのか遅いのかは良く分からない。だけどそんなことはどうでも良いのかもしれない。コウたんは確実に成長しているのだ。今日も明日も明後日も。これ以上の喜びはない。
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