新参者去り行く

TBS ドラマ「新参者」が一昨日、最終回を迎えました。子ども達がまだ起きていたのでリアルタイムでは観られず、寝かしつけてから録画しておいたものを観ました。

事前に「泣いたー」という声を Twitter で見かけていましたし、また実際に、この最終回に至るまでの間に何度も泣かされ続けてきた為、最終回では一体どれだけ泣かされるのかと思って気合を入れて観たのですけど。

結果、まったく泣けませんでした。少し拍子抜けというか。

以下、多分にネタバレを含みますので、まだ最終回を観ていない人は読まない方が身のためです。全然観てない人は是非 DVD BOX を買うなりレンタルするなりして是非観て下さい。面白いですよ。

で。

確かに犯人についてはまったくもって意表をつかれたわけですが、意表をつかれすぎというか、意表をつかれただけというか、これまで散々と様々な人達を絡めてきたにもかかわらず、それまであまり描かれていなかったところから突然ポンと出てくるわけですね。そして、殺人の動機がどうにも気に食わない。最終回までに展開してきたドラマたちは、どれも人形町という土地柄を反映してなのか、とても人情味溢れるお話ばかりでした。当然、三井峯子が殺害された理由にも、それなりの複雑な人情味溢れるステキなお話がてんこ盛りなはずだと思うじゃないですか。それが、会社の金を使い込んだ、単なるバカ息子を庇うだめでした、なんてどうよ。どうなのよ。

んー。もうちょっと、岸田親子について深く掘り下げていれば、また違っていたんでしょうけど。もこみちがなぁ。

きっとその後の清瀬家のやり取りが泣くポイントだったはずなんですが、あっけに取られちゃって入っていくことができませんでした。どうして三井峯子は殺害されなければならなかったのか。それがこのドラマの最大のテーマであり、最終回ではその殺害されるに足る理由(まぁどんな理由があっても人を殺しちゃいけないんですけど)が明かされて「あースッキリ」となると思っていたのに、残念ながらモヤモヤしたまま終わってしまいました。なんというか、「そんな理由で殺されちゃったの?」というか、子どもが旅立ち、離婚して、一度バラバラになることでようやく見えてきたものがあって、「よし、これから」だったはずなのに、でもなんとも納得のいかない理由で殺されちゃって、峯子は死んでも死に切れないよなぁ、というか、残された家族はさぞかし無念だろうなぁ、とか。

んー。

ただ、最終回に至るまでの展開は本当に見事で、TVドラマとしては大変素敵だったと思います。毎度毎度、登場人物のついている「嘘」に隠された「真実」を解き明かしていくことで、人形町という町に住む人々の心の模様を、人情味豊かにドラマチックに描いていました。毎回の演者も豪華でしたねー。うんうん。市原悦子、倍賞美津子、原田芳雄あたりはたまらんかったです、はい(泣かされた)。

何より僕は、阿部寛という俳優が大好きなのですな。「どうせ TRICK の影響だろ」と言われそうですが、残念、僕は TRICK をほとんど観ていません。実はもっと後なんですよ。「結婚できない男」というドラマを観てからです。いや違う、「アットホーム・ダッド」かな。彼の存在感というのは紛れも無くユニークで、他の役者さんには絶対に出せない味があります。ああ、「最後の弁護人」だったかも。うん。走る姿が大好きでした。

ところで僕、この「新参者」の作者である東野圭吾の小説を、まったくもって読んだことがありません。いやそもそも小説をまったく読まない人なんですよね、マンガばかりで。ただ、「ガリレオ」とか、「名探偵の掟」とか、東野作品を原作としたドラマを観る機会がここのところ多く、かなり興味を持っています。取っ掛かりとして、加賀恭一郎シリーズに手を付けてみてもいいかもしれませんね。